事例紹介

相続税対策としての信託契約の活用について

解決例を見る

信託契約を使って110万円以下で毎年贈与を実行している契約があるようですが、こちらが暦年贈与扱いとして必ず非課税になるかは疑問です。歴年贈与による相続財産の取り崩しで相続税を抑えたい目的でしょう。もちろん、委託者兼受益者である依頼主が、認知なく意思能力があれば、受益者の立場で、毎年、額や渡す時期を決定し、子や孫に暦年贈与することは可能です。問題となるのは、認知症になった後も信託内給付として、暦年贈与するという内容です。信託行為に「子や孫に各110万円を毎年帰属者として給付する」「毎年、110万円を限度として給付する」と定めた場合は信託設定時信託期間に乗じた総額が贈与されたとして一括課税されると考えられています。つまり暦年課税の非課税の特例の適用を税務署から否定される可能性があります。一括課税を避けるための信託内給付の定め方も一部提案されていますが、そもそも信託法は信託契約を節税対策として活用を予定されているものではありません。家族のための民事信託契約は、相続人予定者に財産の処分権限を与えて、認知症などになった時の財産の凍結を避け、財産を認知症になった本人やその家族のために活用し、さらには納税準備資金の調達をするために適切な時期に売るということができることが魅力かと感じます。
そして、いくら一括課税を避ける信託内給付の定め方をしても、税務署と揉めることも想定します。もっぱら非課税や節税対策としての信託契約書の作成はお勧めしておりません。本来の信託は、遺言では難しい承継の指定や認知症対策や家族の生活の安定のための財産信託です。節税対策は、保険や通常の暦年贈与など、信託以外で対策することをおすすめします。

お電話でのお問い合わせは
受付時間9:00~17:00(土日祝日除く)
0282-21-7220